インキュベクス株式会社です。
こちらのページでは、『10年後を生き抜く「経営の考え方」』と題して、当社がなぜ皆様に訪問看護ステーションや住宅型有料老人ホーム運営をお勧めするのか、さらに経営者の皆様に知っていただきたいこと、成功するために必ず押さえていただきたいポイント等を7回に分けてお伝えいたします。
第1回目は、「国の真の狙いを見定めビジネスに生かす」についてです。
在宅ケアの必要な患者は今後確実に増え続ける
――高齢者を取り巻く現状をどう捉えるか

e-bookでもお伝えしたとおり、現在の日本の財政は非常に危ういところまできています。
国の財源の危機、その原因になっているのは高齢化社会による社会保障費給付費の高騰、医療費の増大。また日本を取り巻く世界情勢も予断を許さない状況です。
このような中で私たちは、マーケットニーズとしての社会背景を的確につかむ必要があります。
すなわち、高齢者を取り巻く現状をどう捉えるかというのがポイントになります。
なぜ高齢者ビジネスは今後成長するのか、なぜ国の政策として確実性があるのかをお話しします。
国は6年前に、病院・施設から在宅に移行する意向を明確に打ち出しました
高齢者が今後増え続けることは明白です。
しかも、介護度3以上の、世間的には「重度」と呼ばれる方、医療依存度の高い方の割合が増える。
このことはすでにe-bookでも申し上げました。
そこから何が読み取れるかというと、残念ながら病院にお世話になる方は増え続けるということです。
国費を使い続ける傾向は今後も止まることはないでしょう。
これをふまえ、国は6年前に、病院・施設から在宅に移行する意向を明確に打ち出しました。
我々が訪問看護への取り組みを始めたのはそこがきっかけでした。
我々はこの「訪問看護」を「国策」としてとらえています。
入院患者を長期間預かれば預かるほど、病院の経営は悪化していく
なぜ「国策」なのか?
日本は財政破たんをおこしている状態である。医療費は今後間違いなくこのままでは膨らむ、では国費を強制的に、できるだけ使わせない、あるいは減らすためには、どうしたらよいか。
そこで国が政策として出したのが、「在院日数の短縮」つまり病院にいる期間を短くすることでした。
実は、ここに、国が表に出していない制度が存在します(医療関係者の方はご存知かもしれませんが)。
ひとつは病院に対しての課題。
すでに国は「在宅復帰率」を設定し、各病院に課しています。

「半年で70%の人を退院させてください」と。いわばノルマです。
もうひとつは、報酬制度。
病院の受け取る報酬は、実は二週間単位で細くなるように作られています。
入院した最初の二週間が一番、患者様からいただく費用は高い。
ところが、次の二週間になると一定の割合で減額になります。
さらに二週間ごとに、どんどん減額されていきます。
つまり、病院に入ってくる収入は、入院患者さんを長期間預かれば預かるほど、経営上の損益分岐点を割るようになっていくのです。
国は「医療費を抑えなさい、国費を抑えなさい」と病院に報酬減額を適用し「経営が苦しいなら入院患者を病院から出しなさい」と強いている。
これが現状です。
もはや綺麗ごとではない、なりふり構わない国の姿勢
とはいえ、日本は義理人情の国です。
「二週間で退院してください」と病院が言ったところで「自分の親が、気管切開して呼吸器がついたままの状態で家に帰ってきて、何かあった時にどう対応すればいいのかを想像しただけで怖いです、無理です、もう少しだけ預かってください」と患者さんに言われたら……病院も「わかりました。あと二週間お預かりしましょう」と預からざるを得ない。
これを繰り返すと何が起きるかといえば、病院の経営が悪化していく。
それが証拠に、全国にある80%の病院が赤字です。
ですから、今後病院は入院患者の在宅復帰率を上げることを徐々に徹底していくと予想されます。
このように国は政策の旗のもと、病院に対する在宅復帰率の設定と報酬制度の縛りをもって、患者の在宅ケアと看取りを加速させています。
国費抑制のためにはここまでやらないとすでに追いつかない状況になっているのです。
今後、在宅で看護を受け、看取られる方が増えることは確実です。

次回は「患者を在宅に帰すことで国費を抑制した結果、どういうことが起きるのか?」について、実例とともに説明させていただきます。
ここまでお読みくださってありがとうございました。