介護とは何か?
マイナスからゼロにすることが介護の本質だと思って現場を見てきた7年間。

――本日はよろしくお願いいたします。

青木社長は異業種から介護業界に参入され、高齢者向け住宅や訪問看護ステーションの開業運営を手掛け介護の本質を追求しつつ多くの成功事例を生み出しておられます。現在は「世界を旅するハッピーシニアライフプロデューサー」と名乗り、中国、マレーシア、ニューヨークと世界中を旅されながら事業拡大とともに社会貢献もなさっている。

介護現場で働き「介護って何だろう?」というところから始まったとのことですが、青木社長からは、違う視点から「介護事業は実はもっと面白い」という地点に到達した、経営者としての強い信念と自信を感じます。本日はそのあたりのお話を中心に伺いたいと思います。

介護とは何か?マイナスからゼロにすることが介護の本質だと思って現場を見てきた7年間。

青木:平成21年から10年くらい、自社有料老人ホームの運営事業を中心に、これまで800人ほどのご利用者様を「幸せに導きたい」という自負をもってお世話させていただき、今日に至るんですが。800人と一言で言っても800人分のそれぞれの人生、生き方、考え方、夢は様々です。いろんな方たちの人生模様を見てきた中で「介護って何だろう」「介護の仕事はどういう意味を持つんだろう」っていうのを、ずーっと、考えてきました。

最初、答えは出なかったんです。
「社会問題を解決する」「介護難民を救う」というテーマやコンセプト、どの介護事業者にもありますよね。でも、ご利用者様おひとりおひとりにそんなものは関係ないんです。皆さん、あまりにも切羽詰まっている。

問題が噴出して悩みぬかれて来られている。その現状からお付き合いが始まるわけですよ。
わかりやすく言うと、“マイナスの状態だったご利用者様の問題を、ゼロにする”作業が介護だ、と。言語化するならそういうものが最初の7年間、正直、自分の中にはありました。


――その頃は10年前ですから、今みたいに自立支援はもちろん「治す」「状態をよくする」というのは・・・


青木:全然、無いですね。何もなかった。もちろん、状態がゼロになって、その後プラス1とか2になり、施設を「卒業」する方もいらっしゃるんですけど少ないです。

うちは重度の方も対象の施設ですから、看取り、エンゼルケアを最後までやってお葬式も関わります。そういう経験を重ねて、あらためて「介護って何だろう?」というのを考え始めたのが3年くらい前です。


――原点としては「介護って何だろう?」というところからなんですね。


青木:そうです。介護業界で仕事をしたうえでもう一回、「介護って何だろう?」って。「かざぐるま」(※青木社長の経営する高齢者施設)のクレド(※従業員が心がけるべき企業の信条)の中に「介護という漢字の意味を知っていますか? 介護の介は、介錯の介、云々。」という一文があるんですね。介錯とは、付き添って世話をすること。つまり「人を助ける」のが「介」。介護の護は「人をまもる」。人を助け、まもるのが介護だよ、と明文化はしてあるんです。

でも、言葉の意味だけではなくて、本質は何だろう? と。3年前から考えはじめて、ずっと、言語化できないまま悶々としていました。そうやっていろいろ考えていくうちに、「介護というものの本質は、その人の人生に最期まで寄り添うことだ」という考えに辿り着きました。

人生をその人らしく、自分らしく、最期まで豊かに生きる。その実現のための手助けをする。それが介護の本質なんじゃないか――あえて誤解を恐れずに言えば、エンターテイナー的な要素といいますか――それが、ようやく、ここ半年くらいですね。


――半年なんですね。ずっと前から辿りついておられたのかと思っていました。


青木:とんでもない、最近です。ニューヨークで1年くらい前に、介護について講演したことがあります。全然介護のことを知らない方たちに、「日本の介護事業は大変です、財政難で、2025年問題で、云々」と話しました。ところが、全然反応がなかったんですよ。

僕ら業界人は普段から介護業界で仕事しているから、そのとき話したことは大きなテーマとして常に、当たり前にあるんですけれど、一般の日本人も含めて世界の人は誰も知らない、関心もない。「2025年問題って何?」それを詳しく話したところで「ふーん」で終わり。その冷めたリアクションを見たときに、それまで自分が感じていた「介護の本質」を、「何かちがう」と感じたんですね。

自分のセルフイメージが、マイナスからゼロ、せいぜいプラス1か2くらいのところで止まってしまっている。もっと自分の視点を――マイナスからゼロじゃない、マイナスから、それまで以上のプラスへ。もっと明るいイメージへ。言葉で言うと、すっと出てきたのが「happy」だったんですよ。そのハッピーを、突き抜けて応援する。

そこまでのセルフイメージを僕自身がもたないと、いくら講演だセミナーだって偉そうに喋ったところで、大変ね、頑張ってね、と他人事で終わってしまう。介護の本質、自分の立ち位置、セルフイメージも全部変えて、今言っている「ハッピーシニアライフプロデューサー」という立ち位置になりました。


――今、青木社長が仰ったような「壁」を感じられている介護事業者様は、結構いらっしゃるんじゃないかな、と思います。

介護にはどうしても、重いイメージがあります。青木社長が経営する「かざぐるま」にしても、訪問看護ステーションにしても、名古屋の有料老人ホームにしても、悲壮感はあまり無く、ご利用者様含め、スタッフさんも穏やかに楽しんでおられる印象がありますが、今のお話が関わっておられるということでしょうか。


青木:確かに介護には「重い・暗い・固い」というイメージ、ありますよね。

僕は経営者として、横浜鶴見のステーションのスタッフにしても名古屋のスタッフにしても、現場はもちろん様々につらいことはあるんですが「自分たちサービス提供する側に余裕、明るさ、幸せがなければ、お客様に対して良いサービス提供ができない」と接するたび話しています。

底抜けに明るく。底抜けに楽しく。嫌なことは様々にあるでしょうけど、一緒に飲もう、語ろうと。で、忘れようと。違うか(笑)。そんな感じで、基本的にあんまりプレッシャーを与えないように気を付けて、組織作りを意識しています。

第2回に続きます。


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