その国、そこに住む人たちのニーズを探り、サービスを提供する。 日本でも世界でも、ビジネスの基本は同じ!!

――今後は日本で今まで培ってきた、青木社長の強み、ビジネスモデルを、世界に対して売っていくということでしょうか?


青木:最初はそうしようと思っていたんですよ。ただ、実際に日本を離れてみて痛感したのが、海外と日本は違う、ということです。自分たちが日本で良いと思っているものを「そのまま」持って行って、果たして勝負になるかどうか。

アメリカは西側なので、ビジネス的な諸習慣はまだ日本に近いんですが、中国はまったく日本と正反対だと言えます。日本流、たとえば「おもてなし」なんてもの、全然彼らは興味ないんですね。そういうのも、行ったからこそ分かったことですが。

日本で培ってきたものが僕には確かにあるけれども、果たしてそれをそのまま持っていって、勝負になるのか? 最初は押し通そうと思ったんですけど、いろいろ考えてやめました。

「郷に入れば郷に従え」と言われます。それで、相手の国に入ってひたすらフィールド調査、とにかくいろんな人に会って、いろんな話を聞きました。いろんな会社経営者、いろんな一般の人。中国はまずどういう国で、住んでいる人たちは今何に困っていて、何を求めているのか。それはアメリカも同じです。

アメリカに住む人たちが何を求め何を感じどうしたいのか、相手のニーズが分らないと何ともしようが無いので、ひたすら――それに3年、今日まで時間をかけてきたんです。


――まだ、道半ばということですね。


青木:そうです。まだまだ、これから。でももちろん、得たことも多く、実際に提案をし、ビジネスとして既に成功しているものもあります。

ニューヨークも、何度も何度も行ってマーケットを調査しました。日本人として僕らが提供できるものはなんなのかと調べていたときに、たまたま、「あ、これだ」というものが見つかったんですね。

戦前戦後にニューヨークに移住した日系人の方たちが、現在は齢(よわい)80~90歳くらいになっておられる。

10歳くらいの少年少女の時にアメリカに渡って、アメリカ人として暮らしてきた。それまでずっと英語を喋ってきたのが、次第に認知症状が出始め、そうすると英語が喋れなくなってくるんだそうです。子供の頃喋っていた日本語が混ざって英語と日本語両方混ぜこぜで喋るけれど、息子さん、娘さん世代は国籍も育ちも完璧にアメリカ人だから、日本語がわからない。そんなわけで、介護が必要なのに、息子さん娘さん世代が困っている。

そのことに、たまたま誰かにインタビューしているとき、気づいたんですね。

そして何より、80、90世代の日系アメリカ人の方たちは、日本に憧れを持っているんです。元々自分が生まれた日本に、できれば帰りたい、と。


――日本人としてのアイデンティティがあるんですね。


青木:そう、アイデンティティがある。帰りたい。でも今更帰れない。なぜか?

そう、アイデンティティがある。帰りたい。でも今更帰れない。なぜか?
もう、親兄弟も親戚も、知り合いもいない。いても、没交渉ですね。

この間もマンハッタンで、ある83歳のおばあちゃんと話しました。ご主人が有名大学の外科手術の権威のお医者様、その奥様なんですけど、ご主人が亡くなって未亡人となった。

資産は潤沢で資産管理団体に管理してもらっている。生きるのには何も困らないんです。それなのに、「あなたたち日本人の若い方がニューヨークに来てくれて、お話しできて嬉しい。私、若いときはね、友達が日本からたくさん来てくれて、アメリカを案内もしたのよ。でも今はもう年を取って、体も効かない。友達もどんどん死んでいく。私はあと何年生きるのかしら」と、悲しそうに話すんです。

「おばあちゃん、もし今夢がかなうとしたら、何がしたいですか?」と僕は尋ねました。そうしたら「お金なんかいらない。日本に帰りたい」って仰ったんです。

ところで、アメリカの介護施設、月額いくらかかると思います?


――高いイメージがありますが・・・

円換算で100万かかるんですよ。特にニューヨークは高い。アッパーイーストの安いところで、ようやく40万くらいです。
僕がよく行くイザベラハウスというところも、お金持ちしか入れません。たいていはお子さんが払っているのですが、当然、40万、50万を月に払っていると、普通の方は破産してしまう。

アメリカは日本のように介護保険制度がありません。生活保護者レベルの人は国が助けるけれど、お金持ち以外の中間層を助ける公的な保険が無いんです。民間の保険はあるけれど、これも高い。

日本でも問題になっている介護離職がアメリカでもあって、ある試算によると経済的損失が3兆あると言われているそうです。このままニューヨークにいたら親も倒れる、子供も倒れる。

だからそのおばあちゃんが日本に帰りたい、なんとかできないかと仰ったとき、色々考えて、これはビジネスとして成り立つと思いました。

その後いろんな、弁護士さん税理士さん等に連絡をとって、「チームオールジャパン」というものをつくりました。絆プロジェクトなんですけど、それぞれの業界のプロフェッショナルの方たちを集めて知恵を出し合うんです。僕一人ではできませんから。僕らは介護や看護は担当するけれども、それ以外の分野は専門家にお任せする。みんなで、アメリカに住む元日本人や日系人のおじいちゃんおばあちゃん、高齢者、シニアの方を助けましょうと。

毎回行くたびにセミナーを開き、その後個別相談会も行います。うちのスタッフが行ってリハビリ体験会をやったりもします。ものすごいんです、反響が。本当にみんな困っているんだと痛感します。やっと今それが、スキームとしてできつつあります。今はまずそこをしっかりやっていきたい。それから、先程リハの反響を話しましたが、日本の介護、看護、リハビリの技術的なものは海外と比較して高いんです。そこは相手方の会社さんと事業提携も含めて、今後コンサルティングで入っていきます。

いろんな介護周りの商品やウォシュレットの販売も手掛けています。ウォシュレット、アメリカで物凄く人気があるんですよ。なのに日本製を持っている人がほとんどいない。

あと自動排泄処理装置。日本製と似たようなものはあるけれど、粗悪です。日本で唯一、その自動排泄処理装置の特許を取っている会社があって、介護保険を使えるんです。そこの社長とも組んで動いています。

こんなふうに実は日本には、介護のための優れた商品がたくさんあります。

僕らは介護現場の人間ですから自分でモノを作り出す力はないけれども、大事なのは提携です。チームを組んで得意分野を世界に対して売り出していく。それが今後のあるべき形だと考えています。

第5回に続きます。 


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