訪問看護ステーションを開業する際、多くの方が収益計画やサービス内容に注力しますが、実は看護師の退職リスクについても考慮する必要があります。
特に人事制度が整っていないと、短期間でスタッフが入れ替わる可能性が高まり、事業の安定運営が難しくなります。
今回も元インキュベクス代表取締役(現:円仁会代表)の上村(かみむら)さんにお話しいただいております。
こちらの動画はYouTubeでも配信しておりますので是非ご覧ください。
訪問看護ステーションの開業と人事制度の重要性
訪問看護ステーションの経営において、人材の確保と定着は大きな課題です。
私自身、北海道から沖縄まで約1000社の訪問看護ステーションの開業を支援してきましたが、以下のようなケースを多く耳にしました。
- 給与制度や昇給ルールが不明確な会社では、看護師の定着率が低くなる
- 評価制度がないため、スタッフが不満を持ちやすい
- 人間関係のトラブルが原因で、複数名が同時に退職することもある
特に訪問看護の業界では、医療者の転職サイクルが短くなりがちです。
そのため、事業計画の段階で退職リスクを考慮し、しっかりと人事制度を構築することが求められます。
看護師の退職が多い会社の特徴
訪問看護ステーションの看護師が1年以内に辞めてしまう企業も少なくありません。その背景には、以下のような要因があります。
- 給与や待遇が不透明
看護師にとって、給与や待遇は非常に重要です。昇給の基準や賞与の有無などが曖昧だと、他社に移ることを考える要因になります。 - 評価制度がない
仕事の頑張りが適切に評価されないと、モチベーションが下がります。「どれだけ頑張っても評価されない」と感じる職場では、離職率が高くなります。 - 人間関係のトラブル
「あの管理者がいるなら辞めます!」といったトラブルもよく聞かれます。時には、5人・6人がまとめて退職するケースもあり、これは日々の円滑な業務の大きな妨げになります。 - 教育・研修制度が整っていない
新しく入社した看護師が業務についていけず、ストレスを感じて辞めてしまうこともあります。
退職リスクを抑えるために必要な対策
訪問看護ステーションを安定的に運営するためには、以下のような施策が有効です。
- 明確な給与制度を設ける
給与の基準、昇給ルール、ボーナスの条件を明確にし、入社時にしっかり説明しましょう。納得感のある給与体系は、スタッフの安心感につながります。 - 評価制度を導入する
スタッフの働きを適正に評価し、昇給や昇格につなげる仕組みを作りましょう。定期的なフィードバックを行うことで、モチベーションアップにつながります。 - 人間関係のトラブルを防ぐ仕組みを作る
管理者の選定には慎重になるべきです。また、定期的な面談や相談窓口の設置など、スタッフが気軽に意見を伝えられる環境を整えましょう。 - 教育・研修制度を充実させる
新入社員がスムーズに業務に慣れるよう、研修制度を整備しましょう。また、キャリアアップを目指せる研修プログラムがあると、長く働いてもらいやすくなります。
退職者対策をしている訪問看護ステーションの事例
私が経営している介護施設や訪問看護ステーション3カ所全ての事業所で、年間の退職者は1人いらっしゃるかどうかぐらいの割合かと思います。いつ訪ねても知った顔ばかりとすれ違います。スタッフが長く働き続ける環境を作ることで、安定した経営が可能になります。
- 給与や待遇の透明化 … 昇給の基準を明確にし、納得感を持たせる
- 人間関係のケア … 定期的な面談で不満を解消
- 教育制度の充実 … 新人も安心して働ける環境を整備
結果として、どの施設でも顔なじみのスタッフが多く、安心して事業を運営できています。
事業計画のポイントまとめ
訪問看護ステーションを開業する際は、看護師の退職リスクを事業計画に組み込むことが重要です。
- 給与や評価制度を明確にする
- 人間関係のトラブルを防ぐ仕組みを作る
- 研修制度を整備し、定着率を高める
これらの対策を講じることで、長く働ける環境を整え、安定した経営が可能になります。
もし具体的な人事制度や経営ノウハウに興味がある方はお問い合わせください。
最後に・・・円仁会とは? |
円仁会は、インキュベクスやケイスラッシュ、医療関係施設など、複数の関連会社を統括するホールディングカンパニーです。今年 1月より私は円仁会の代表取締役に就任し、よりスムーズな運営を目指して、各関連事業所の代表職を信頼できる方々に委ねております。 |