円仁会の上村です。

訪問看護ステーションを経営していると、まず目標になるのが「黒字化」ではないでしょうか。
新しくステーションを立ち上げ、利用者を増やし、売上をつくる。
そして、毎月の収支が黒字になれば、ひとつの区切りを迎えたと考える。
もちろん、黒字化は非常に重要です。
赤字のまま事業を継続することはできません。
ただ、私は黒字化をゴールにしてはいけないと思っています。
なぜなら、黒字化したステーションが、その後も持続的に成長できるとは限らないからです。

大切なのは、黒字化したあとも、安定して成長を続けられる経営基盤をつくることです。

ステーションにも「完成形」という基準が必要

これから私たちがつくっていきたいのは、単に拠点数を増やすことではありません。

「成長し続けるステーション」の標準形をつくることです。

ステーションごとに、

「この状態になれば、円仁会として完成形」

と言える基準を明確にしていきたいと考えています。

その基準を判断するとき、売上や利益だけを見ていてはいけません。

  • 利用者数や利用者構成。
  • 毎月の新規依頼数。
  • 看護師の定着率や稼働率。
  • 勤務時間に対する生産性。
  • 加算の取得状況。
  • 採用力。
  • 地域からの紹介状況。
  • 管理者のマネジメント力。
  • そして、どの程度のスピードで成長しているのか。

こうした複数の指標を組み合わせて、ひとつの基準をつくっていく。

これが、私たちが考えている「円仁会標準」です。

単純に「売上がいくらあるか」だけでは、そのステーションの経営状態を正しく評価することはできません。
売上が伸びていても、スタッフが定着していなければ持続性に問題があります。

利益が出ていても、新規依頼が減少していれば、その先の成長には不安が残ります。

だからこそ、複数の指標からステーションの状態を見る必要があります。

拠点数を増やすことが目的ではない

事業を拡大するとき、どうしても「何拠点まで増やすか」という数字に目が向きます。

10拠点、20拠点、30拠点。

もちろん、拠点数も経営上の重要な指標です。

ただ、拠点数だけを追いかけると、拠点ごとの力に差が生まれてしまいます。

  • 売上が伸びない。
  • 人材が定着しない。
  • 採用ができない。
  • 新規依頼が減る。
  • 管理者が育たない。

こうした状態のステーションを増やしても、事業全体の経営基盤が強くなるわけではありません。

私たちが目指しているのは、拠点数を増やすことではなく、

経営基盤の強いステーションをつくり、育て、残していくことです。

そのために、それぞれのステーションが今どの位置にいるのかを数字で把握する。

設定した基準を下回っているのであれば、何が足りないのかを明確にする。

必要であれば改善のための猶予期間を設ける。

それでも改善が難しい場合には、その拠点の継続自体を判断する。

拠点を増やすことを目的にしない。

この考え方が私たちの経営の基本だと思っています。

黒字化はゴールではなく、次の成長のスタート

新規出店をすると、まずは黒字化を目指します。

実際、今年4月に出店した綱島、5月に出店した大口も、出店から約半年で黒字化する見込みです。

これはひとつの成果です。

ただし、半年で黒字になったからといって、そのステーションの経営が完成したわけではありません。

その後に利用者が減れば、売上も落ちます。

スタッフが離職すれば、稼働率にも影響します。

採用力がなければ、受けられる依頼にも限界が出てきます。

管理者のマネジメント力が不足していれば、ステーションをさらに成長させることも難しくなります。

だからこそ、黒字化した「後」が重要なのです。

  • 利用者が増える。
  • スタッフが定着する。
  • 稼働率が上がる。
  • 必要な人材を採用できる。
  • 管理者が育つ。
  • 地域からの紹介が増える。
  • そして、その結果として、さらに次の成長が生まれる。

この循環をつくることが、ステーション経営では重要だと考えています。

毎月15〜20件の新規依頼を当たり前にする

そのために、私たちが重視している指標のひとつが、新規依頼数です。

目標としているのは、1拠点あたり毎月15〜20件の新規依頼が入る状態です。

利用者数は、あくまで結果です。

現在の利用者数が多いからといって、来月も同じように増えるとは限りません。

重要なのは、継続的に新しい依頼が入ってくる紹介導線を構築できているかどうかです。

  • ケアマネジャーからの紹介。
  • 病院からの退院依頼。
  • クリニックからの依頼。
  • 地域包括支援センターからの相談。

こうした地域との接点を一つずつ増やし、紹介につながる関係性を強化していく。

そして、

「訪問看護なら、まず円仁会に相談しよう」

と思っていただける状態をつくっていく。

これは、単純な営業活動の話ではありません。

地域の中で訪問看護ステーションとしてどのようなポジションを築くのか。

どれだけ信頼され、継続的に相談をいただける存在になれるのか。

その結果として、安定した新規依頼が生まれる状態をつくることが重要です。

「強いステーション」の基準を持つ

訪問看護ステーションは、開設して黒字になれば終わりではありません。

むしろ、黒字化したところから、次の成長が始まります。

  • 利用者数は伸びているか。
  • 新規依頼は安定しているか。
  • スタッフは定着しているか。
  • 必要な人材を採用できているか。
  • 稼働率と生産性は向上しているか。
  • 管理者のマネジメント力は高まっているか。
  • 地域から継続的に選ばれているか。

こうした指標を定期的に確認しながら、ステーションの経営状態を把握する。

そして、課題があれば早い段階で改善する。

その積み重ねによって、ステーションそのものの経営力を高めていく。

その先にあるのが、私たちの考える「成長し続けるステーション」です。

これからは、拠点数を増やすことだけを目標にするのではなく、どの拠点も一定の基準を超え、長期的に成長できる状態をつくっていきたい。

そのための経営基準として、「円仁会標準」をつくっていきます。

強いステーションをつくり、育て、残していく。

そのために必要なのは、感覚や経験だけに頼る経営ではなく、明確な基準と数字を持ってステーションを評価し、改善していくことだと考えています。