円仁会の上村です。

2024年に「まるっとけあ居宅介護支援事業所」を開業してから、最初の1年間は、とにかくPDCAを回し続けました。

この繰り返しです。

なぜ、そこまで試行錯誤を続けたのか。

ケアマネ事業所の経営を具体的に教えてくれる人がいなかったからです。

お手本にしたいと思える事業所も、なかなか見つかりませんでした。

だから、自分たちで考えるしかありませんでした。

ケアマネ事業所は、どうすれば利益を出せるのか

開業当初、私が考え続けたのは、ケアマネ事業所の経営をどう成立させるかという問題でした。

ケアマネ1人あたり、どのくらいの売上をつくれるのか。

何人配置すれば、安定した事業所になるのか。

どこまで給与を上げられるのか。

収支の計算自体はできます。しかし、実際の経営は計算どおりには進みません。

採用が必要になる。教育もしなければならない。
業務効率化や管理者のマネジメントも欠かせません。
主任介護支援専門員の確保も課題になります。

売上だけを計算していても、事業所は成長しないのです。

利益を確保しながら、スタッフの待遇を高め、組織として成長できる体制をつくる。

そこまで考えて初めて、経営モデルと呼べるものになります。

売上・利益・待遇をどう両立させるか

私が重視したのは、ケアマネ1人あたりの生産性です。

1人でどのくらいの売上をつくり、そこからどのくらいの利益を残せるのか。
そして、その利益をどこまでスタッフに還元できるのか。

この一連の流れを考えてきました。

売上を増やすことだけを追えば、現場に負荷がかかる。一方で、待遇を上げることばかり考えれば、事業所に利益が残らなくなる。

どちらか一方では、長く続く事業にはなりません。

売上・利益・待遇。この3つをどう両立させるか。

経営者が考えるべきなのは、まさにこの部分です。

また、開業当初は特定加算ⅡやⅠについても、制度の意味や取得方法を調べ、具体的な運用を考え続けました。

加算は取得すれば終わりではありません。
取得に必要な体制を整え、収益をどう確保し、スタッフの待遇や事業所の成長にどうつなげるか。
制度を経営の中に組み込む視点が必要です。

誰かが答えを用意してくれるわけではない。だからこそ、自分たちで調べ、実行し、数字を確認する。その積み重ねが欠かせませんでした。

正解を探すより、自社の答えをつくる

居宅介護支援事業所の経営に、すべての事業所に当てはまる正解はありません。

地域によって採用環境は違います。ケアマネの経験や能力、利用者の構成、地域の医療・介護資源も異なります。

他社の成功事例をそのまま取り入れても、同じ結果になるとは限りません。

重要なのは、成功事例を眺めることではなく、
自社の数字を見て、自社に合った経営モデルをつくることなのです。

ですから私たちも、最初から正解が分かっていたわけではありませんでした。

やってみる。数字を見る。問題を見つける。修正する。

その繰り返しによって、少しずつ経営の形を整えてきたのです。

2事業所・ケアマネ16名の組織へ

現在、まるっとけあの居宅介護支援事業所は2事業所。(※2事業所目は、2027年1月開業予定)

ケアマネは16名、そのうち主任介護支援専門員は6名になりました。

もちろん、最初からこの規模を実現できる仕組みがあったわけではありません。

採用も教育も試行錯誤の連続でした。
業務の進め方を見直し、組織の成長に合わせて管理者の役割も考え直してきました。

そうした改善を積み重ねた結果、現在はケアマネ1人あたり月80万円程度の売上をつくり、年収630万円という給与水準を支えられる仕組みも整えています。

重要なのは、年収630万円という数字だけでなく、ケアマネの待遇を高めながら、事業所として利益を残す。

その利益を採用や教育、組織づくりに再投資する。

スタッフの待遇向上と、会社として利益を出すことは、必ずしも対立するものではないと考えます。

経営の仕組みを整えれば、両立できる。その構造をつくることに意味があります。

経営を個人の頑張りから仕組みへ

事業所が小さいうちは、優秀な管理者や一部のスタッフの頑張りで何とかなることもあります。

しかし、規模を拡大するなら、それだけでは限界があります。

採用、育成、業務の標準化、数字の管理、マネジメント。これらを仕組みにし、組織として成果を出せる状態をつくらなければなりません。

特定の人がいなければ事業所が回らないのであれば、安定した組織とは言えません。

ケアマネ事業所を1事業所で終わらせるのか、2事業所、3事業所と拡大していくのか。その違いは、単純な人数の差ではないのです。

経営を仕組みに変えられるかどうか、ということです。

お手本がなかったからこそ、自分たちで考え、試し、失敗し、改善してきました。
その経験が、現在の2事業所、16名のケアマネ、6名の主任介護支援専門員という組織につながっています。

もちろん、これで完成したとは考えていません。制度も採用市場も変わります。だから、経営も変え続ける必要があります。

一度つくった仕組みに固執するのではなく、数字を見ながら改善する。その姿勢は、これからも変わりません。

ケアマネ事業所の経営を、実践から学ぶ

これからケアマネ事業所を開業する方。
すでに事業所を運営し、採用や収益に課題を抱えている方。
そして、ケアマネにもっと良い待遇を提供したいと考えている経営者の方。

そうした方に、私たちが実際に経験してきたことを伝えていきたいと考えています。

ケアマネ1人あたりの売上をどう考えるのか。
何人規模になれば安定するのか。
採用や教育にどう取り組み、売上を利益と待遇にどうつなげるのか。

こうしたことは、机上の計算だけでは分かりません。
実際に運営し、数字を見て、失敗し、改善してきたからこそ伝えられることがあります。

経営に特別な魔法はありません。
数字を見て、問題から逃げず、改善を続ける。
そして、その積み重ねを仕組みに変える。

私たちが実践してきたケアマネ事業所の経営を、これから開業する方にも、すでに経営している方にも、届けていきたいと思っています。