約800名の利用者から見えてくる地域の課題 

まるっとけあ居宅介護支援事業所では、16名のケアマネジャーが約800名の利用者のケアプランを作成しています。 

日々の業務を通じて把握するのは、利用者やご家族の悩み、医療・介護サービスへの要望、既存のサービスだけでは解決できない課題などです。 

個々の相談は、それぞれの利用者が抱える問題です。しかし、多くの相談に接していると、地域に共通する課題や、これまでのサービスでは対応しきれていないニーズが見えてくることがあります。 

こうした情報は、私たちの事業所にとって重要な経営資源でもあります。 

自社のサービスを見直す材料になるだけでなく、新たなサービスの必要性や、地域で果たすべき役割を検討するための判断材料にもなるからです。 

現場の声をどこまで把握し、事業の判断に生かせるか。それは、医療・介護事業者の経営力を左右する要素の一つだと考えています。 

地域のニーズを、自社だけの情報にしない 

現場で把握した課題を、自社の中だけで活用する。それも必要な取り組みです。 

しかし、一つの事業者だけでは解決できない課題も少なくありません。 

例えば、医療と介護の連携に改善の余地がある場合、訪問看護ステーションだけが努力しても、関係する医療機関や介護事業者との連携が進まなければ、十分な改善にはつながらないことがあります。 

既存のサービスでは対応できないニーズについても、各事業者が個別に考えているだけでは、新たな解決策が生まれにくいものです。 

必要なのは、現場で起きていることを共有し、関係者が共通の課題として認識することです。 

もちろん、利用者の個人情報やプライバシーへの配慮は欠かせません。そのうえで、地域に共通する課題を整理し、事業者同士が議論できる環境をつくることには大きな意味があります。 

私たちが把握している情報を地域の関係者にも共有することで、自社だけでは見えなかった課題や、連携によって解決できる問題が明確になる可能性があります。 

地域ニーズの把握は、経営戦略そのものである 

医療・介護事業の経営では、人材確保や収益の安定化、サービスの質の向上など、多くの課題に対応しなければなりません。 

そのなかで、地域のニーズを把握することは、単なる地域貢献ではなく、事業の方向性を決めるための重要な取り組みです。 

地域で何が不足しているのか。利用者やご家族は何に困っているのか。既存のサービスでは、どこまで対応できているのか。 

これらを把握せずに、事業者側の都合だけでサービスを展開しても、地域に必要とされる事業になるとは限りません。 

サービスを提供できる体制を整えることと、そのサービスが地域で求められていることは別の問題です。 

だからこそ、経営者は自社の売上や稼働率だけでなく、地域の需要と自社の提供能力を照らし合わせ、どの領域で役割を果たすべきかを判断する必要があります。 

また、地域のニーズは固定されたものではありません。利用者の生活環境や家族の介護力、医療的な支援の必要性などが変化すれば、求められるサービスも変わります。 

現場の情報を組織として蓄積し、経営判断に生かす。そして、自社だけでは対応できない課題については、地域の事業者と共有する。 

この仕組みを持つことが、地域に必要とされ続ける事業をつくるうえで重要だと考えています。 

これからの事業者に求められるのは、地域全体を見る視点 

地域には、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所、訪問介護事業所、医療機関、介護施設など、さまざまな事業者が存在しています。 

それぞれが専門性を持ち、異なる役割を担っています。 

重要なのは、すべての事業者が同じサービスを提供することではありません。それぞれの強みを生かしながら、地域で不足している機能をどのように補い合うかという視点です。 

自社の事業を成長させることは、もちろん重要です。しかし、自社のサービスだけを見ていては、地域全体で解決すべき課題を見落とす可能性があります。 

経営者には、自社の成長と地域の課題解決を切り離さずに考える姿勢が求められます。 

地域のニーズを共有し、事業者同士がそれぞれの役割を考える。その積み重ねが、利用者にとってよりよい支援体制につながり、結果として各事業者の事業基盤を強くすることにもつながるはずです。 

2026年11月、地域のニーズを共有する勉強会を開催 

こうした考えから、私たちは、まるっとけあ居宅介護支援事業所が日々の業務を通じて把握している地域のニーズを、医療・介護関係者の皆様と共有していきたいと考えています。 

その第一歩として、2026年11月に第1回目の勉強会を開催する予定です。 

地域で何が求められているのか。そして、それぞれの事業者が何を担うべきなのか。 

現場で把握している情報や経験を持ち寄り、これからの医療・介護サービスのあり方について考える機会にしたいと思っています。 

地域の課題は、一つの事業所だけで把握し、解決できるものではありません。異なる立場の事業者が情報を共有することで、初めて見えてくる課題もあるはずです。 

地域に必要とされる事業者であり続けるために、まずは地域の現状を知り、互いの役割を考えるところから始めたいと思います。 

医療・介護に携わる皆様のご参加をお待ちしています。