円仁会の上村です。

訪問看護の独立は、なぜ難しいのか

私は10年以上前から、ずっと考えていました。

「医療者が、もっと安全に独立できる仕組みはつくれないだろうか。」

訪問看護師をはじめとする医療者には、高い専門性があります。

しかし、いざ独立すると求められるのは、医療だけではありません。

営業、採用、レセプト、請求業務、バックオフィス、そして経営。

本来は患者様や利用者様のために力を発揮したい医療者が、こうした業務に多くの時間と労力を費やさなければならない現実があります。

その負担が、「独立したい」という想いを持ちながらも、一歩を踏み出せない理由になってきました。

だから私たちは、この10年以上をかけて、訪問看護ステーションを安定して運営するための仕組みを磨き続けてきました。

そして今、その仕組みを一つのモデルとして形にできる準備が整いました。

それが、「ひとり訪看」プロジェクトです。

「ひとり訪看」は、ゼロから始めない独立モデル

一般的な訪問看護ステーションの開業は、利用者様ゼロの状態から始まります。

つまり、開業した瞬間から営業活動を行い、利用者様を増やしながら経営を軌道に乗せていかなければなりません。

もちろん、その間も家賃や人件費、各種固定費は発生します。

だからこそ、多くの開業者が資金面や精神面で大きな負担を抱えることになります。

「ひとり訪看」プロジェクトは、この常識を変えたいと考えました。

私たちが提案するのは、「利用者様がいる状態で独立する」という新しい開業モデルです。

ご自身が担当してきた利用者様について、利用者様・ご家族の意思を尊重し、必要な手続きを経たうえで事業を開始していただくことを前提としています。

そのため、開業時点から一人で月商約100万円程度の事業基盤を持った状態でスタートすることが可能になります。

これは、単に売上があるという話ではありません。

経営者として安心して最初の一歩を踏み出せる環境を整えることが、このモデルの大きな価値だと考えています。

独立後も、一人で経営する必要はありません

独立したからといって、すべてを一人で抱える必要はありません。

営業。

採用。

レセプト。

バックオフィス。

そして経営支援。

こうした業務は、本部が継続してサポートします。

経営者は利用者様へのサービスと地域との関係づくりに集中しながら、少しずつ利用者様を増やしていく。

そして、その成長に合わせて看護師を採用し、組織を育てていく。

常勤換算2.5名程度の体制が整い、安定した経営基盤を築いた段階で、完全独立へ移行する。

私たちは、このプロセスそのものが、無理のない訪問看護経営につながると考えています。

私たちが育てたいのは「事業所」ではなく「経営者」

「ひとり訪看」プロジェクトは、単なる開業支援ではありません。

私たちが本当に目指しているのは、地域で長く活躍できる訪問看護ステーション経営者を育成することです。

医療者としての経験を生かしながら、安心して経営にも挑戦できる環境をつくる。

そのために、10年以上かけて積み上げてきた運営ノウハウや本部機能を、このプロジェクトに集約しました。

最短半年で独立し、300万円から起業できる。

さらに、開業時から一定の事業基盤を持ち、本部の継続支援を受けながら事業を成長させていく。

これまでの「独立=すべて一人で始める」という考え方とは異なる、新しい選択肢を提供したいと考えています。

訪問看護の独立を、もっと挑戦しやすくするために

2026年9月、「ひとり訪看」プロジェクトの募集を開始する予定です。

プロジェクト始動は2027年1月。

初年度は5名限定でスタートする予定です。

このプロジェクトは、10年以上思い描いてきた構想が、ようやく形になったものです。

私たちが変えたいのは、訪問看護の開業方法だけではありません。

医療者が、「独立は特別な人だけができるもの」「失敗のリスクが大きいもの」と感じてしまう現状、そのものを変えていきたいのです。

専門性を持つ医療者が、安心して一歩を踏み出せる。

地域に必要とされる訪問看護ステーションを、無理なく育てていける。

そんな新しい独立の選択肢を当たり前にすることが、私たちの目指す未来です。

「利用者様がいる状態で独立する。」

それは単なる仕組みではなく、医療者が地域で長く活躍するための、新しいスタートのかたちだと私たちは考えています。