
円仁会の上村です。
訪問看護ステーションの経営についてお話ししていると、「どのくらいの成長率を目指していますか?」と聞かれることがあります。
私自身も、経営者としてたびたび考えるテーマです。
一般的に、上場企業であれば年間10%、20%の成長でも、十分に高い成長企業と言われます。
もちろん、それは決して小さな数字ではありません。
ただ、私は訪問看護のように、明確にニーズがあり、これからも需要が見込める市場であれば、成長率に対する考え方は少し違ってもいいのではないかと思っています。
市場そのものが成長している。
まだまだ必要とされるサービスがある。
そして、人材を確保し、営業を強化し、拠点を増やしていく余地がある。
そうした市場であれば、「前年比10%、20%の成長」を目標にすることだけが正解ではありません。
では、400%成長する企業は、その先に何を目指すのか。
私は、まさに今、そのことを考えています。
訪問看護の成長市場で、どこまで事業を伸ばせるのか
訪問看護は、今後さらに重要性が高まっていくサービスだと考えています。
高齢化が進み、病院から在宅へという流れが続くなかで、住み慣れた地域や自宅で療養したいというニーズも増えています。
つまり、サービスそのものに需要がある。
しかし、需要があるだけでは企業は成長できません。
必要なのは、その需要に応えられる組織をつくることです。
- 看護師を採用する。
- 教育する。
- 新規利用者を獲得する。
- ケアマネジャーや医療機関との関係をつくる。
一つの拠点で蓄積したノウハウを、次の拠点でも再現する。
こうした仕組みが整って初めて、訪問看護ステーションは「一つの事業所」から「成長する企業」へ変わっていきます。
私は、ここに訪問看護経営の大きな可能性があると思っています。
2025年から2026年、事業規模は約3倍へ
私たち円仁会は、2025年から2026年にかけて、事業規模を約3倍に成長させました。
例えば、ある事業部では、月商3,000万円だった事業が、年内には8,300万円になる見込みです。
約2.8倍です。
一般的な企業の成長率と比較すれば、かなり大きな変化だと思います。
ただ、私たちが今考えているのは、「今年どれだけ伸びたか」だけではありません。
もっと大切なのは、
「この成長を、来年も再現できるのか」
ということです。
一度だけ大きく伸びることと、毎年成長できる企業をつくることは、まったく違います。
経営者が頑張ったから売上が伸びた。
たまたま採用がうまくいった。
大きな案件が入った。
それだけでは、企業としての成長とは言えません。
重要なのは、成長するための条件を整理し、それを組織の仕組みにしていくことです。
再現できる成長にしたい。
これが、今の私たちが強く考えていることです。
2027年に考えているのは「営業利益前年比400%」
2025年から2026年に約3倍。
では、その会社が次の年度に何を目標にするのか。
私たちは、2027年に向けて、営業利益の前年比400%という数字を一つの目標として考えます。
「前年比400%」とは、前年の4倍ということです。
かなり大きな目標です。
当然、簡単に達成できる数字ではありません。
だからこそ、単純に売上を4倍にするという発想ではなく、利益を生み出す事業構造そのものを変えていく必要があります。
売上が増えれば、それだけで企業が強くなるわけでは勿論ありません。
- 人件費も増える。
- 広告費も増える。
- 事務所も必要になる。
- 管理者も必要になる。
拠点が増えれば、管理コストも増えていきます。
売上だけを追いかけていけば、会社の規模は大きくなっているのに、利益が思ったほど残らないということも起こります。
だからこそ、これから重視したいのは、
「どれだけ売上をつくったか」ではなく、「どれだけ利益を生み出せる事業に成長させたか」
という視点です。
高成長の先にあるのは「利益が残る会社」
経営者として、売上の数字はもちろん気になります。
しかし、企業を長く経営していくためには、営業利益を見なければなりません。
100億円売って1億円しか利益が残らない会社と、10億円でも3億円の利益を生み出す会社では、経営の自由度がまったく違います。
利益があれば、人材に投資できます。
新しい事業にも投資できます。
既存事業のサービス品質を高めることもできます。
そして、何よりも、会社が次の成長に向かうための原資になります。
訪問看護ステーションを多拠点展開していく場合も同じです。
拠点数を増やすこと自体が目的になってはいけません。
- 新しい拠点を出す。
- 採用する。
- 利用者を増やす。
- 売上をつくる。
- 利益を残す。
その利益を次の拠点や人材、仕組みに投資する。
この循環が回り始めれば、企業は一つの拠点の成功に依存しなくなります。
そして、成長が「経営者個人の力量」から「会社の仕組み」へ変わっていきます。
400%成長を目指すなら、経営者の仕事も変わる
企業が小さいうちは、経営者自身が営業をして、採用をして、現場の問題を解決することもできます。
しかし、会社が大きくなれば、それでは回らなくなります。
経営者一人の判断や頑張りで会社を動かすのではなく、組織として意思決定できる状態をつくる必要があります。
採用も仕組みにする。
営業も仕組みにする。
拠点運営も仕組みにする。
数字の管理も仕組みにする。
そして、それぞれの責任者が、自分の判断で事業を前に進められるようにする。
ここまでできて、初めて「再現できる成長」に近づいていきます。
400%という数字を目標にするということは、単純に大きな数字を掲げることではありません。
400%成長できる会社の構造をつくる。
私が目指しているのは、こちらです。
訪問看護を「一つの事業所」から「企業の成長エンジン」へ
訪問看護ステーションの経営には、まだ大きな可能性があります。
一つの事業所を安定させる。
そこで得た採用、営業、教育、マネジメントのノウハウを次の拠点へ展開する。
さらに拠点を増やす。
そして、複数の事業を組み合わせながら、企業としての収益力を高めていく。
こうした多拠点展開ができれば、訪問看護は単独の事業所経営にとどまらず、会社全体を成長させるエンジンになり得ます。
私は、「訪問看護ステーションを何店舗つくるか」だけを考えているわけではありません。
その先に、どんな会社をつくるのか。
どれだけ地域に必要とされるサービスを提供できるのか。
そして、働く人にどれだけ還元できる会社にできるのか。
そこまで考えて経営することが重要だと思っています。
目指すのは、一度きりの400%ではない
400%という数字を掲げると、「なぜそこまで高い目標を設定するのか」と思われるかもしれません。
私が目指しているのは、一度だけ大きく伸びることではありません。
今年300%成長したから、来年400%を目指す。
その次は、また別の成長を考える。
そのために、採用を強くする。
営業力を高める。
人材を育てる。
管理体制を整える。
拠点展開の仕組みをつくる。
そして、売上だけではなく、営業利益をしっかり残す。
そうやって、一つひとつの成長を次の成長につなげていく。
「成長できる会社」ではなく、「成長を再現できる会社」をつくる。
これが、これからの私たちが目指している経営です。
2027年、営業利益前年比400%。
簡単な目標ではありません。
それでも、必ず実現したい。
そして、400%の先にも、まだ見たことのない成長があると思っています。