円仁会の上村です。

「訪問看護を直行直帰にしましょう。」

言うのは簡単です。

自宅から直接、利用者様のもとへ向かう。

最後の訪問が終われば、そのまま自宅へ帰る。

訪問看護という仕事を考えれば、非常に合理的な働き方です。

しかし、実際に訪問看護ステーションで直行直帰を成立させようとすると、そう簡単ではありません。

  • 看護記録はどこで入力するのか。
  • カルテはどう確認するのか。
  • 計画書や報告書はどう作成するのか。
  • スタッフ同士の情報共有は。
  • 経費精算は。
  • 車を使うスタッフの安全管理は。

これらを一つずつ解決しなければ、結局、スタッフは事務所へ戻ることになります。

訪問看護の直行直帰は、単に「事務所に来なくていい」というルールをつくるだけでは成立しません。

事務所に来なくても、戻らなくても、一日の仕事がきちんと完結する仕組みをつくること。

これが必要です。

横浜の訪問看護ステーションまるっとけあでは、実際に直行直帰を成立させるために、こうした仕組みを一つずつ整えてきました。

訪問看護の直行直帰は、ルールだけでは成立しない

直行直帰を導入するとき、最初に考えなければならないのは、

「スタッフを事務所に来なくしても、本当に仕事が回るのか」

ということです。

訪問看護ステーションでは、訪問以外にも多くの仕事があります。

  • 看護記録の入力。
  • カルテの確認。
  • 計画書や報告書の作成。
  • スタッフ間の情報共有。
  • さまざまな事務作業。
  • そして経費精算や安全管理まであります。

これらの仕事が、どこか一つでも「事務所に来なければできない」という状態で残っていれば、直行直帰は成立しません。

結局、その仕事のためにスタッフは事務所へ戻るからです。

だから私たちは、単に直行直帰という制度を導入するのではなく、

「事務所に人がいなくても、仕事がきちんと回る仕組みをつくる」

というところから考えました。

訪問看護で直行直帰を導入するために必要なIT環境

まず必要だったのが、IT環境の整備です。

訪問先でも。

移動中でも。

自宅でも。

必要な仕事ができなければ、直行直帰は成立しません。

  • 看護記録を入力する。
  • カルテを確認する。
  • 計画書を確認する。
  • 報告書を作成する。
  • 必要な情報を共有する。

こうした仕事を、事務所のパソコンの前に座らなくてもできる環境を整えていきました。

ただし、IT機器をスタッフに渡せば、それで終わりではありません。

むしろ、そこからが重要です。

機器の不具合。

設定の問題。

システムのトラブル。

新しく入社したスタッフへの対応。

ITを活用する環境をつくれば、その環境を維持する仕組みも必要になります。

IT機器やシステムを支える専門チームを配置した

訪問看護の現場で働くスタッフが、IT機器やシステムのトラブルまで自分で解決しなければならない。

これでは、本来の業務に集中できません。

そこで私たちは、IT機器やシステムのメンテナンスを担当する専門チームを配置しました。

現場のスタッフが困ったときには、専門チームが支える。

看護師は、自分の仕事に集中する。

直行直帰という働き方を安定して運用するためには、この役割分担が必要でした。

直行直帰を導入すると、スタッフは事務所にいない時間が増えます。

だからこそ、困ったときに「事務所へ戻って聞く」以外の選択肢を用意しなければなりません。

現場のスタッフに負担を押しつけるのではなく、組織として支える仕組みをつくる。

これも、直行直帰を成立させるための重要な条件だと思っています。

看護記録や報告書を、自分のタイミングで処理できる

IT環境が整うと、スタッフの仕事の進め方も変わります。

  • 訪問後に看護記録を入力する。
  • 次の訪問までの時間に入力する。
  • 少し落ち着いてからまとめる。
  • 必要に応じて帰宅後に作成する。

必ず事務所のパソコンの前に座って作業する必要はありません。

もちろん、記録や報告書には期限があります。

自由に、いつでも好きなときに仕事をすればいいという話ではありません。

ただ、

「この仕事をするためには、事務所に戻らなければならない」

という制約をなくすことはできます。

自分の仕事の状況に合わせて、自分のタイミングで作成・入力できる。

これは、スタッフにとって大きな変化でした。

そして経営側から見ても、スタッフの時間をより有効に使えるようになります。

訪問看護の直行直帰で、帰社時間を削減する

以前は、訪問が終わってもカルテチェックなどのために事務所へ戻ることがありました。

スタッフによっては、1日2時間程度の時間ロスが発生することもありました。

  • 訪問を終える。
  • 事務所へ戻る。
  • カルテを確認する。
  • 記録を整理する。
  • そして、そこから帰宅する。

これが日常的に行われていれば、スタッフはかなりの時間を移動に使うことになります。

訪問看護は、もともと移動の多い仕事です。

だからこそ、訪問以外で発生する移動を減らすことには大きな意味があります。

私たちは、この不要な帰社時間をなくしていきました。

単に、

「出勤しなくてよくなった」

ということではありません。

仕事のために発生していた不要な移動そのものをなくした。

ということです。

経費精算もオンライン化し、直行直帰を徹底する

直行直帰を導入しても、領収書を提出するためだけに事務所へ来る。

これでは意味がありません。

そこで、経費精算もIT化しました。

  1. 申請する。
  2. 確認する。
  3. 承認する。
  4. 処理する。

できるだけオンラインで完結させる。

重要なのは、直行直帰という大きな制度を導入することだけではありません。

「この仕事のために、まだ事務所へ行かなければならない」

という業務を、一つずつ見つけてなくしていくことです。

一つの仕事だけであれば、小さな問題かもしれません。

しかし、それが積み重なれば、結局スタッフは定期的に事務所へ戻らなければなりません。

だからこそ、細かい業務まで見直す必要があります。

直行直帰は、制度を導入した瞬間に完成するものではありません。

事務所に来ることを前提にした業務を、一つずつ変えていくこと。

それが必要でした。

安全管理も「事務所に来ること」を前提にしない

車で訪問するスタッフについては、安全管理も必要です。

直行直帰にすれば、当然、事務所でアルコールチェックをすることはできません。

そこで私たちは、アルコールチェッカーについても自動化を進めました。

事務所へ来なくてもチェックできる。

結果を記録できる。

管理する側も確認できる。

安全管理についても、「事務所に来ること」を前提にした運営を変えていきました。

ここでも考え方は同じです。

直行直帰を認める。

その代わり、管理ができなくなる。

ではありません。

直行直帰を前提にした、新しい管理方法をつくる。

これが、訪問看護ステーションを経営する側に必要なことだと思っています。

17時半には、もう家にいる

こうした仕組みを一つずつ整えていった結果、スタッフの働き方そのものが変わりました。

訪問が終わる。

事務所へ戻らない。

カルテチェックのために帰社しない。

報告書や記録も、自分のタイミングで処理できる。

そして、そのまま自宅へ帰る。

17時半には、もう家にいる。

これは、数字だけでは表せない大きな変化だと思います。

以前であれば、訪問が終わってから事務所へ戻る。

  • カルテを確認する。
  • 記録を整理する。
  • そして、そこから帰宅する。

スタッフによっては、そのために1日2時間程度の時間ロスが発生していました。

その時間がなくなる。

夕方には家に帰ることができる。

自分の時間を持つことができる。

仕事を終える時間と、家に帰る時間が近くなる。

スタッフにとって、これはかなり大きなことです。

直行直帰は、訪問看護ステーション経営にもメリットがある

直行直帰によって変わるのは、スタッフの働き方だけではありません。

経営にも大きく関係します。

訪問看護ステーションの経営において、最も重要な経営資源の一つは人材です。

採用する。

育成する。

そして、長く働いてもらう。

これができなければ、訪問看護ステーションは安定して成長できません。

だからこそ、給与だけではなく、

「どんな働き方ができる会社なのか」

が、これからさらに重要になると思っています。

不要な移動時間がない。

仕事をするためだけに事務所へ戻る必要がない。

夕方には自宅へ帰ることができる。

こうした働き方は、スタッフにとって大きな価値になります。

直行直帰は、単なる福利厚生でもありません。

単なる働き方改革でもありません。

人材を採用し、そして長く働いてもらうための経営戦略の一つでもある。

私はそう考えています。

直行直帰は、制度ではなく「仕組み」です

実際に取り組んでみて、私自身よく分かりました。

直行直帰は、単に、

「朝、事務所に来なくていい。」

「帰りも寄らなくていい。」

という制度ではありません。

事務所に人がいなくても、仕事がきちんと回る仕組みをつくることです。

スタッフが事務所にいなくても、情報は共有できる。

必要な記録は作成できる。

経費精算もできる。

安全管理もできる。

困ったときには、専門のチームが支える。

こうした仕組みが整って、初めて訪問看護の直行直帰は安定して運用できます。

そして私たちは、

「事務所に来なくても、戻らなくても、ちゃんと仕事ができる。」

という働き方をつくってきました。

その結果の一つが、

17時半には家にいる。

という働き方です。

直行直帰とは、単に移動時間を短縮することではありません。

仕事のやり方そのものを変えることです。

そして経営者にとっては、スタッフが事務所に集まることを前提にしていた組織の仕組みを、根本から見直すことでもあります。

横浜の訪問看護ステーションまるっとけあで取り組んできた直行直帰の仕組みは、私たちのマネジメントにとっても大きな財産になりました。

「訪問看護ステーションで直行直帰を導入したい。」

「スタッフがもっと働きやすい組織をつくりたい。」

「事務所に戻らなくても仕事が回る訪問看護ステーションをつくりたい。」

そう考えている経営者の方も多いと思います。

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