訪問看護/訪問介護/施設運営/訪問診療のバックオフィス、起業支援を行っている、インキュベクスグループの上村です。
今日のテーマは【フロー経営からストック経営へ】
言い方を変えると、『売上高を上げて、経費を下げて』という損益計算書にぎゅっとフォーカスした経営スタイルから、『利益を活用して、投資をしていく』というスタイルへ、というお話です。
もちろん企業ですから毎年毎年事業成長することが大前提となります。
今日ご紹介するのは、介護施設への投資を図っていくことで、フロー経営からストック経営への移行を達成するという例です。
ちなみに弊社の場合は、訪問看護ステーションや介護施設、クリニックのバックオフィスなどを運営しておりますが、それぞれの事業所の数字のバランスや採用計画を見ていくのはそれぞれの事業責任者です。
ですから私の役割は、今日ご紹介するようなストック、つまり事業で確得した利益をどういうところに投資をして事業成長させていくのかを考えることで、そううことに時間を使わせていただいています。
フロー経営
一般的な企業の場合、フロー経営、すなわち売上を上げて経費は下げるという考え方だけでなんとか頑張っていこうよ、という場合は少なくともこういうことになるのではないでしょうか。
まず売上高は、私も当然そういう時期がありましたが、年間で20%ぐらいの成長ができたら良いかな、と。
例えば1つの事例として、2025年、訪問看護ステーションを6、7拠点運営していて創業から7、8年ぐらいのお客様は、早ければ1億円ぐらいになっています。
その方が目指すのは、2026年には売上高2割成長で1.2億円、2027年にはそのまた2割成長で1.44億円。
ちょっと頑張っていただいて利益は30%程度を出していただきたいと思っているので、2025年は3,000万、2026年は3,600万、2027年には4,320万(予測)となるわけです。
フロー経営からストック経営
今回ご紹介する私たちのお客様の場合、いよいよフロー経営からストック経営、PLだけではなくBSを重視するような経営スタイルへシフトしたので、来年2025年を目安に計画をして、2026年中には土地・建物と事業を合わせて5億円ぐらいの介護施設を買収していこうという計画をしています。
そういうものを買えた場合、どんな風に事業が成長するのかというところをご紹介いたします。
来年2025年には大体売上規模で言うと年間あたり1億円を迎える私のお客様が、2026年は借入れと自己資金を合わせて5億円ぐらいの金額で土地(1億)・建物(3億)・事業そのもの(1億)を買っていきます。
例えばこの会社、売上1億円に対して経費が今現在7000万円ぐらいかかっていますが、5億円ぐらいの事業を吸収した時に経費計上できるのが、土地は経費計上できませんので、この5億円の中の建物・3億と事業そのもの・1億=4億を25年で経費計上をするという考え方です。
ちなみに1年あたり1600万円の経費計上が認められていますので、利益3000万円から1600万円の経費を差し引いて、この会社が1年間で残す利益というのが1400万円ということになります。
そしてここからが面白いところです。
経費を下げて利益を押し上げる
この5億円ぐらいの規模、5億円ぐらいの価値の事業を買ったこの会社は、普通にいくと最初にお話ししたように毎年2割ずつ程度の成長をしていきます。
それが今回、介護施設を買うことによってどういう風に成長するのか。
ご紹介していきます。
訪問看護ステーションの事業自体は2割成長ですから、2026年の売上高は1億2000万円となります。
例えば月商1300万円ほどの介護施設を吸収することで、施設売上1.56億円がボーンと乗っかってくるということです。
1.2億+1.56億で計2億7,600万円。
実は訪問看護ステーションよりも介護施設の利益率というのは高いのです。
ですから経費を下げて利益を押し上げる、という効果があるのです。
今まで3000万円ぐらいの利益があった会社が、2026年度には1億1000万円ぐらいの利益計上をしていくというストーリーです。
自社の強み、キャッシュの強みなどを使って関連事業に投資するなどストック経営にシフトした場合は、3600万円から約3倍の利益成長を達成できるということになるのです。
さらには、介護施設があると訪問看護ステーション自体の利益率も上がります。
ですから2027年ぐらいには、訪問看護ステーション事業もまた20%程度の成長をすると想定しています。
介護施設の利益もさることながら、訪問看護ステーション本体の利益が上がるので、こちらの事例は今後とても楽しみだなと思っております。
今日ご紹介いたしましたのは、売上高ばかりにフォーカスするのではなく、事業計画というのは、P/L=損益計算書にフォーカスすることと並行して、B/Sいわゆるバランスシートも合わせて年度計画・3年計画・5年計画するということが必要なのです、というお話でした。
そのためにもバックオフィスの強化と、経営者ご自身はご自身以外にも経営者としての裁量を持った人材を配置する、ということが必要になるかと思います。
訪問看護ステーションもこんな風に大きな成長を期待できますので、是非ご参考になさってください。