訪問看護/訪問介護/施設運営/訪問診療のバックオフィス、起業支援を行っている、インキュベクスグループの上村です。
今日は、約1年前にYouTubeにアップした動画で触れた内容に関して、今、思うところを書いてみました。
異業種の方が、医療介護分野に参入を考える場合、制度の理解や事業計画、その他様々な壁を乗り越えるのはハードルは低くはありません。
私自身も、医療者からの介護医療分野参入でしたので、ずいぶんと苦労したものです 笑
ちなみに、訪問看護ステーションの申請は例えば、奥さんが看護師で、お嬢さんが2人いて、そのお嬢さんが看護師ならば基本的には訪問看護ステーション申請要件はこれで整います。
訪問看護ステーションの申請要件は、2.5名の看護師さんのが在籍があれば申請ができるからです。
ただし、ただしです。
この体制だけでは、5年先、10年先にも生き残れる訪問看護ステーションにならない事は明らかですよね?
◆訪問看護ステーションは開業しただけで、あとは待っていれば、誰かから仕事が依頼されるサービスではありません。
訪問看護テーションは開業から半年〜1年まで、その地域に認知をされるまでは順調に仕事いただけるわけではありません。
ただし、クリニックとタッグを組んで医療依存度の高いお客様の面倒を見れるスキルを持った看護師さんがいらっしゃれば、その限りではありません。
圧倒的に訪問看護ステーショとしての指名を受けられるスキルは「医療依存度の高い利用者様」をバックアップできるスキルなのです。
私は、かれこれ訪問看護ステーションの経営を5年ほどしておりますけれども、これで申し上げる依存度が高いお客様をお引き受けできるスキルを持った看護師さんは10名の面接のうち1人いらっしゃるかいらっしゃらないかと言うレベルです。
◆医療依存度の高いご利用者様に対して、サービス提供ができるスキルは年収でいうと600万円下限であろうと思います。
◆訪問看護ステーションの開業者のうち、およそ50%程度は1年から2年間の間に廃業となります。
廃業理由はいくつか考えられますが、私が思う理由をご紹介いたします。
■訪問看護ステーション存続のための事業資金の不足
訪問看護ステーションの開業にかかる費用は、私の感覚では 2500万〜3000万円です。
例えば、2000万円やいや1500万円での開業もできるかもしれませんが、上記のスキルのあるナースの採用はほぼ不可能であろうと思います。
■医療サービススキルのある訪問看護ナースの採用ができない。
ひょっとしたら地域から求められる医療サービスの提供ができる人材の確保、ここが1番難しいかもしれません。
何度も申し上げますが、このレベルの人材は年収ベースで600万〜1000万と言っても過言では無いからです。
訪問看護ステーション開業を検討する経営者には、人の質を学んで欲しい。
私を含めて、民間出身の人間には、どの看護師さんに医療サービススキルがあって、どの看護師さんには医療サービスの提供が無理なのか、全くもって理解不能かと思います。
正直、責任感のある発言から、どのナースのことを見ても素晴らしい人に見えるはずです。
結論から言うと、ナースのスキルを見る目がない場合、評価基準を知らない場合は採用通知を出した瞬間から、訪問看護ステーション事業撤退のストーリーは始まっています。
■看護師採用はできたけれども、マネジメントができない。
看護師の採用までは順調。しかし民間経営者が陥る罠はここなのかもしれません。
訪問看護ステーションのマネージメントには、これらのポイントを理解することと、彼らに動いてもらうと言う必要があるんです。
⓪理念
①事業計画
②稼働率(標準業務料)
③給与テーブル
④休日その他、就業規則
⑤オンコール体制
例えば、これらの項目を看護師管理者に丸投げすると言うような経営者をたまにお見かけします。
間違いなくうまくいかないはずですねぇ。
看護師さんは、医療の訓練は受けてきているが、経営の訓練を受けているわけではないのです。
訪問看護ステーションを成功させようと思われる場合、少なくとも経営者が1日の半分を訪問看護ステーションに費やす、あるいはご自身の信頼できるマネジメント、経験者を配置するなどの対策が必要です。
訪問看護ステーションの開業までは誰にでもできます。
正直、これができない!
●ナースの定着を図ること
●毎年毎年事業を成長させること
そして、その上で、会社にきちっと利益を残すこと。
ナースの定着を図る事はもちろん、会社に利益を残すことが、なかなか難しいのです。
看護師20名体制の訪問看護ステーションを、転ばの先の杖としても、ぜひ視察をしてみてください。