「わが社は社会貢献企業でなければならない」
認知症の祖母の思い出・・・ボランティアを通じ、“三方よし”の企業理念を掲げる経営者へ!

――本日はよろしくお願いいたします。

田村社長は地域を代表する自動車教習所の3代目として先代より事業を受け継がれ、その後地域貢献の一環として訪問看護ステーション経営を始められたと伺っております。ステーションは4年目を迎え、従業員数も30名近くになり地域にしっかりと根を下ろしている印象です。

まずは自動車教習所の経営者が、何故、訪問看護事業をやろうと思われたのか? きっかけをお聞かせいただけますでしょうか。


田村:僕が教習所の社長を代替わりで受け継いだのは、平成25年の1月です。実際会社を引き継いでみて真っ先に何を思ったかというと――今のままだと、大変だなって(笑)。

当時、正直な話、会社の経営状況はよくなかった。事業展開は富士と藤沢の教習所二か所だけ、3年連続で赤字という状態でした。まだ余剰の資金はありましたが、先々どんどん減っていくのは容易に予測できました。

先々代が興して50年間ずっと、教習所という太い柱一本、この上に社員が乗って、お客様がその上に乗ってやってきた。でもこの教習所事業、一本だけだと倒れてしまう。

同じ事業体の中で工夫して収益を増やしていくことは勿論重要です。だから、それまでは18歳から25歳くらいまでの若年層に対しての免許提供だけだったのを、時代のニーズに合わせて70歳以上の高齢者の方に対する講習にも力を入れるようになりました。

でも、お客様の数を増やして会社を維持していくためには、少子高齢化の流れを見ても、やはり「別の柱」すなわち別の事業を立てなきゃいけない。その柱は何本用意するか・・・

最初は手探りでしたね。

ネットで「新規事業」「神奈川」など、思いつくキーワードで探していくうちに、インキュベクスさんのHPが出てきたんです。でも、ねぇ。なんとなく怪しいじゃないですか(笑)。「訪問看護」という言葉自体を、その頃は全然知らなかったし、なんだこれ? って。

ただ、訪問看護を調べるうちに、自分の「役割」みたいなものを考え始めました。

実は僕、平成23年からボランティアで中学校、市民センター、自治会等に赴いて、キャラバンメイト(※地域で暮らす認知症の人やその家族を応援する「認知症サポーター」を育成する「認知症サポーター養成講座」の講師役)をやっていたんです。

僕の同居していた祖母は、とても優しいおばあちゃんでした。それが認知症になった途端、うちの母親を攻撃したり、「私の財布をどこへやったの」と責め始めたり。
夜中、母親が泣いていたんですよね。

そういう経験をしているので、「認知症」は皆が知っているものと思っていたんですが、実際聞いてみると経験も知識もない方のほうが多かったんです。だから僕の経験が役立てばと思って活動していた次第です。

元々僕は学生のときに、一度は医学部を目指したこともあったので・・・ずっと、「医療」になんらかの形で携われたら嬉しいな、と思っていました。そのことを、ネットで「訪問看護」の文字を見ているうちに、思い出しました。それがきっかけといえばきっかけかな。

僕が社長になったとき、うちの会社には「企業理念」も「経営理念」も無かったんですね。色々考えて、「わが社は社会貢献企業でなければならない」という経営理念をつくりました。

「三方よし」という考え方(※利益を出すこと、お客様に喜んでもらうことはもちろん、ひろく社会貢献ができてこそ良い商売であるという考え方。社会との関わりを重視するソーシャルマーケティングの視点が含まれている)があります。

サービスの提供者も、サービス利用者も、ひいてはそのサービスが展開される地域も、全てに「良い」結果をもたらす、「売り手よし買い手よし世間よし」という考え方です。その考えを、受け継いだ会社の経営理念にしました。

訪問看護ステーション運営は「三方よし」を実現できる事業である、という確信のもと、事業運営をはじめて、今に至ります。

第2回目に続きます。


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