小さな会議室から手探りのスタート。最初は苦難の連続だった
――開業当初は自動車学校さんの会議室一部屋、長テーブルとパイプ椅子から始まった、とお聞きしました。開業1年目、苦労されたことはあったのでしょうか。
田村:教習所のその会議室は、月に1回しか使ってなかったんですよ。まったく売り上げを生まない部屋だったので、そこを借りる形でスタートしました。
オープニングスタッフは5人だったから、大きいスペースはいらなくて、小さなスペースでも十分やっていけるよねっていうので、みんなの顔が見える、お互いがコミュニケーションをとれる環境からスタートしたんです。
看護師さんは最初、3人だったかな。あとSTさんとPTさんで、5人。
――オープニングスタッフのほとんどは訪問看護が未経験だったとか・・・?
田村:はい。ほぼ全員、管理者も含めて訪問看護は未経験。唯一人の経験者は非常勤の方で週に数回しか来られない。
みんな、何も知らないわけですよ。やること全部初めてで、みんなでつくっていこうよって声を掛け合って、やり始めた。
ところがお互いに「どこまでやりたいか」「どこまで形作っていかなければならないか」というところは、どうしても温度差があるじゃないですか。
管理者にそこは任せてスタートしたのですが、責任感からか、毎日毎日、夜中まで資料を作り込みしたり、営業戦略を練ったりしていたんですね。
結果を出そうとしているんだけれど、そのために「自分がやらなきゃいけない」と自分を追い込んでいたんです。暗中模索ですからどうしても疲れがたまってきます。だんだん不安定にもなってくる。
周りを巻き込みながら、チームでやっていく姿勢があればよかったんですが。
特にその頃は、僕との関係もまだしっかりとできてなかった。
認定看護師の採用から、管理者と看護部門リーダーの役割がまとまり現場が動き出した。
往診医との信頼感を築き上げて利用者を掴む
――最初はどうしても、ステーション認知のためにケアマネや医療機関への営業、挨拶回りが必要になってきますが、営業は皆さんで?社長ご自身も行かれたのでしょうか?
田村:実は僕、営業には、一回も出たことがなくて。
実際にインキュベクスさんと契約する前に、地域の地域包括支援センターなどを回っただけで、それ以降の営業回りは一回もしてないんですよ。
――現場の看護師さんたちに任せておられた?
田村:そう。だから後で、管理者に僕は言われました。「社長はなんで現場に行かないんですか」「なんで外回りに行かないんですか」って(笑)。
関係としては、まだ全然できてなかったんですね、そのときもね。
――でも、今はもう完全に仕組みもしっかり出来上がっておられて、経営者と現場、ちゃんと役割も明確ですし、信頼関係もおありです。運営もとても順調に回しておられます。スタッフさんも増えて、30名程ご在籍です。
そうなったきっかけ、ターニングポイントがあったのでしょうか?
田村:管理者に対して現場の責任者、管理者としての意識づけを、僕もずっとしてきたつもりだったんですけど、現場が忙しすぎちゃって。
経営、マネジメントについては、彼女は経験がまったく無いじゃないですか。
元々は看護師ですから、どのように組織をマネジメントすればいいのかわからない。仕事をスタッフに任せず全部自分でやろうとする。周りもどうすればいいかわからない。当時の僕は、管理者や周りのスタッフの話をひたすら聞いていました。
それが大きく変わったのは、去年春、大きな病院の認定看護師が採用できてからです。スキルの高い認定看護師が管理者の補佐に入ってくれまして、やっと彼女も「仕事を任せる」ことを意識してできるようになったのではないかな。
そこからは一気に良い流れができた感じです。大きなターニングポイントがあるとすれば、その時でしょうか。
――責任感の強い方は頑張りすぎる傾向がありますからね。肩の力が抜けたんでしょうね。認定看護師というのは、Iさん?
田村:そうです。彼は将来的に独立を考えているそうで、僕は応援したいと思っています。
――管理者に加えて看護部のリーダーとしてIさんという現場のツートップ体制なんですね。営業は管理者さんが中心で行っておられるのでしょうか?
田村:そうですが、実は、それほど頻回に外回りはしていないんですよ。外回りしている時間、余裕がなくて。ひとつ現場に行くたびに信頼関係を作り上げて、また次に繋げるスタイルというか。
――評判が呼ぶ、ということですね。
この訪問看護師さんたちなら任せられると。素晴らしいですね。
田村:はい。特に往診医の先生方と看護師、お互いに「この人なら任せられる」という信頼関係ができたことは大きいと思います。
ただ、最近、管理者は成長していると感じています。
往診医の先生の名前は、それこそ1年くらい前までは毎日のように管理者から直接話を聞いていたのですが、視点が変わってきているというか。
彼女は以前のようなこだわりが薄れて、今はもっと視野が広くなっている気がします。
もちろん往診医の先生との太いパイプは現在もしっかりと健在ですが、それだけではなく、先を見て行かなきゃならないという視点に変わってきていると感じています。
田村社長のインタビュー冊子が無料でダウンロードできます。
株式会社キャリアドライブ 藤沢高等自動車学校 代表取締役 田村 嘉規氏 インタビューのインタビュー冊子(PDF形式)は、下記フォームより無料でダウンロードいただけます。
田村社長のインタビューをまとめて読みたい方は、こちらからダウンロードください。